2025年5月19日月曜日

ここ数日 Z[√(-m)] のことばかり考えてる(今日は m=14)

昨晩は結構下らんことをするのに3時過ぎまで起きていて、寝床に入ってからも暫く起きていた。随分前の数学セミナーに長岡亮介先生が書かれていた文章が面白かった。でちょっとしか寝てないのに5時台に目が覚めて、そこから寝たら今度は10時半のアラームも11時半のアラームも無視して寝続ける始末。12時ちょいに漸く本格的に起きた。1時10分から3時間強のゼミなので、食事をしないわけにはいかない。弁当が売っててかつ食べる時間確保、ということでシャワーは抜き(今時の言葉で言う「風呂キャン」というやつだな)にして出掛ける。で12時40分くらいには職場に着いたので、弁当は買えた。唐揚げとメンチカツが乗ったやつで、まあ食べ応えがあってよかった。

で1時10分からゼミ。今日はまず K=Q(√(-14),√(-7)), F=Q(√(-14)) とした時、整数環 OK が自由 OF 加群に成らないことの証明。昔読んだ時によく分からなくて放りだした記憶ががあるが、今日はよく分かった。最初に F のイデアル I=(7,√(-14)) が単項イデアルでないことを示していたが、何故?と思ったが、矛盾を出す時にそれが効いていた。いや、今日もよく分からないので学生に尋ねたら、2人の学生のうちの1人が、「それだと I が単項イデアルでないことに反しません?」と言ってくれて、成程、伏線回収出来た、と嬉しかった。ただ、I が単項イデアルでないことの証明の本に載っている物がとっても下手。もうイデアルのノルムも efg=[K:F] もやってるので、I=(α) とすると NF/Q(α)=7 となるが、これが不可能なことは容易、でいいではないか、と思ったが。まあ代数の講義でやるにはこうやった方がいいのだろうが。ちょっと面倒臭くて避けていた方法でやっていたので、一応メモっておいて、後で TeX 化し、もう飽きているが Z[√(-5)] のイデアル (2,1+√(-5)) が単項イデアルでないこともそれで示してみよう、と。でここまでで結構時間を使った。ちゃんと詰めてないと思われる所があったので、突っ込んでみると案の定というか怪しかった。その後も数か所準備不足があった。そりゃそうだよね、と思って流して大丈夫なのは相当経験を積んでからで、馬鹿にしないでちゃんとした方がいいよ。頭で考えてOKと思っても、書いてみると間違ってたってことはよくある。大学生の時に一緒にゼミをやっていた津田塾大の子が、不等式の証明をやりだして暫く経って「がーん」と言ってたが思い出される。これは本当に「がーん」と言う人がいるんだなと思ったこともあって忘れられない。それと、最初の大学院生のうちの1人もちゃんと考えてこない奴で、黒板の前で不等号が逆向きに成り焦っていたのも思い出される。ちゃんとやりましょう。4時30分まで部屋は押さえてあるが、次の命題の証明が時間までは終わらなそうということで、4時ちょいにお開きしてもらった。よかった。

水曜日の線形代数の講義の準備をしようかと思って見たら、もう予習は済んでた。先週の水曜日の講義後にやったな、と思い出した。会議が無かったので。で上に書いた Q(√(-14)) のイデアルのことが気に成ったので。そもそも本では I=(7,√(-14)) と置いてたわけではなく、7OF=I2 なる素イデアル I、という形で与えられていた。だから 7 と √(-14) が I に入ってることを示さないといけなくて、まあそれは簡単、かと思ったが、最初から「素イデアル」と言ってるから楽なんで、イデアルとだけ言われていたら素イデアルであることが示せるのか?とか例によってつまらんことを考えてしまった。I≠OF はすぐ示せた。I≠I2 はどうやって示すんだろう?(OF:7OF)=49 は簡単に示せるので、I≠OF, I≠I2 が言えれば、群指数の性質から OF/I が Z/7Z と同型となり万々歳、というつもりで考え始めたんだが。I/I2 が加群として OF/I と同型であることを示せればよいが、これは多分 I と I2 の隙間に入ってる元(uniformizer というやつ)が必要だと思うが、それは I≠I2 を示す必要があり、堂々巡り。I=I2 から I=OF が示せればよいがな。どうやるんだろう?としばしあーでもないこーでもないとやって、「数論序説」を見たら分かった。IJ1=IJ2 の両辺の I を何乗かして単項イデアルにすればよい、という証明で、今の場合は最初から I2 が単項イデアルであるように与えられてるから。出来た。ついでに I=(7,√(-14)) が示せるかな、と思ったが、まあ腹も減ってきたし、渋滞する時間でもないし、いいことにして撤収。

相撲はどうなったと思ってNHKのニュースを見た。大の里は今日も勝った。9連勝。若隆景は阿炎に負けて2敗に後退、伯桜鵬と安青錦は1敗を守った。どうなるでしょう?明日はリアルタイムで見られるので見よう。

その後何やら暗号がどうしたとかエニグマ暗号が何だとかいう番組が始まって、チューリングだフォン・ノイマンとか、興味深そうな番組が始まった。が、結局 AI の話をしたい番組のようで、数学者の話は頭の方ちょっとやっただけだった。2127-1 が素数かどうか判定するのに、25分で判定出来て凄い、っていう話があったが、これを打ってるパソコン程度でも1秒かからず素数だと判定してくれた。まあコンピューターの進歩は著しいよね。小生が中学生の頃だからもう40年経ってしまっているが、当時のパソコンはメモリーが64kBあれば多い方だった。ハードディスクなんてものは勿論無かったし。浪人中はパソコンはいじらないと決めていて、大学に入ってフロッピーディスクの存在を知った時はビックリした。こんな一瞬で保存、読み出しが出来るのかと。今では HDD が遅い、SSD にしろ、とかいうご時世だが。えーと、AI の話。ついに囲碁も AI が勝つ時代に成ってきたが、まあまだ数学は大丈夫。いや、形式的な計算とかは負けるかもしれないが、新しい定理の証明は出来ないよ。新しいことの証明には何か突飛な発想が必要に成ることがあるし。昔の人の発想を丁寧に追い続けた結果得られた定理というのもあるだろうが、それだけではないでしょう。それと、手を出す勇気と言うのも必要だろう。Wiles が semi-stable な場合にモジュラー性を証明したら、それから何年も経たないうちに谷山-志村予想は完全に解けてしまったが、あれは Wiles のお陰で谷山-志村予想に手を出しても大丈夫だ、と思ったからだろう。Wiles のニュースがあった次の日に小松啓一先生が「我々の手の届く所にあったんだな」と仰っていたのが昨日のことのように思い出される。もう30年以上前なのだが。小生が科研費の調書に毎年「予想」と書いて、未だに予想のままの物でも AI が解いたら脱帽するけどね。いや、帽子被る習慣は無いので、脱帽するとは何もしないという意味だが。

暑いな。明日の京都は31度まで上がるようなこと言ってた。もう冷房を動かしたい気分。どうしよう?また今日もちょっと面倒なメールを書かないといけない。暑いとやる気が湧かない。呑もうか?明後日朝10時から面談の予定だったが、先方の都合で15時からに成ったので、今晩はちょっと不摂生をしても大丈夫に成った。呑むかな。「過ぎるTV」はあんまり面白くないし、買いに行くかな。