2015年10月6日火曜日

アレクサンダー著(足立恒雄訳)「無限小」岩波書店

宣伝である。タイトルにあるような本が発売されているので、是非買って下さい。

本の内容の数学的な部分は、大分での研究集会の時に聞いてきたが、非常に興味深かった。微積分を初めて学んだときに何かこう気持ち悪さと言うか胡散臭さを感じたことはなかったろうか?それを今はきちんと数学的に解決できるが、昔はそうではなかった。それでガリレオ・ガリレイの宗教裁判のような迫害を受けた人は少なくない、と書いてある。うん、興味深い。今はやることがいっぱいあってそんなにじっくり時間は取れないが、出張の移動中や帰省したときにじっくり読むこととしよう、と思っている。何しろ「印税より集めた資料代のほうが絶対高くつく」と仰るとおり、力作である。(偉そうに言える身分ではないが。)繰り返すが、買って下さい。

火曜日は「暗号理論」。先週に比べたら受講生ががくっと減っていた。今週はRSAに向けての第一歩として、初等整数論からの準備、ということで「(a,b)=1 => ∃x,ys.t. axby=1」とか合同式とかやってきた。その仮定でもちろんがP.I.D.であることを示すわけだが、これそう言えば3回生の前期の試験に出したなー、と思い出した。出来は当然惨憺たるものであったわけだが。(そもそもP.I.D.の定義を書け、という問題をまず出したんだが、こっちが既に惨憺たるものだったわけで…。)来週はオイラー関数の定義や性質などをやるつもりだが、RSA暗号のためには「(m,n)=1 => φ(mn)=φ(m)φ(n)」は実はいらない。「p,q が相異なる素数 => φ(pq)=φ(p)φ(q)」だけ言えればよくて、これは定義よりほぼ自明である。ということで来週でRSA暗号終わっちゃうかも知れないな。その後は素因数分解アルゴリズムをいくつか紹介して、去年どおりUBASICでデモでも見せてやるだな。