2018年11月14日水曜日

依存選択の原理

今日は卒研の日。朝8時くらいに目が覚めた。もう一寝入りするとまた遅刻だから、寝ないで真剣に数学をやる。が真剣過ぎて中断するのが惜しくなり、結局遅刻。今日は3回生が見学にくることになっていたのを忘れていた。最初2人女の子が来ていたが、途中でいなくなった。難しそうで途中で帰ったか、それとも何か納得してだろうか。わからん。などと思っていたら、いつものD君が現れた。彼もしばらくしたら帰っていった。どこのゼミにするか、大学院に行くにしてもどこにしようかなど、彼は迷っていたようだが、果たして結論やいかに。

で今日の卒研は、楕円曲線に加法を定義する話。イデアル類群から全単射を作って、それで加法を導入するという方法。これがいつもの定義なっているかを示すのだが、これが中々難しい。色んな notation が出てきて、頭錯綜、というのが去年の状況だったのだが、今年はちゃんと事前に予習していったので、がんがん突っ込む。まあ見学者がいたので大分マイルドにはしたが。というところでテキストの本筋は終わった。最後のセクションは有限体上の曲線の話と Q 上の曲線の話ががっつり証明抜きで書いてある。よってここは程々に流せばいいので、来週短時間で本が終了を迎える。まだ2ヶ月あるので、どうにかしないと。ということで、高木貞治「初等整数論講義」(共立出版)の二次体の章でもやろうということにした。かなりテキストと重複があるので、その辺を上手に端折ってくれればいい線までいくと思うが、さてどうでしょう。

その後部屋で何じゃかじゃとやって、7時ちょっと前に住処着。日米野球が始まっている、というわけで慌てて番組表を見て野球のやっているチャンネルを探すと、4チャンネル(TBS 系)。が、放送開始は7時から。何だ慌てなくてよかった。何かテレビ局の都合で6時半開始だったり7時開始だったりしているが、そういうのはやめてほしい。まあいいんだけど。で、今日もアメリカが序盤から点を稼ぐも、またしても終盤に日本の猛攻で追い付く。その後8回裏に甲斐(Hawks)のタイムリーでついに勝ち越し。打った甲斐はもちろんすごいのだが、1塁から長躯ホームインした上林の脚を忘れてはいけない。まあどっちも Hawks の選手だからいいけど。これで日本の4勝1敗。残りは明日1試合なので、勝ち越し決定!いやー、日本は強くなった。このままの調子で東京オリンピックだったらどんなに嬉しいことか。まあこれから一山、二山あると思うので、再来年まで気を抜かずに頑張ってください。

生協で数学雑誌の立ち読みしていたら、何とファン・デル・ヴェルデンの「現代代数学1」が東京図書から復刊する、という広告が出ていた。持ってるし同じ内容なら買ってもしょうがないと思ったが、時枝正という人の校訂が入っているらしい。うむ、これは買いだな。大学1年生の時に足立先生に「数学概論A」という科目を教わったが、それは「初等数論からの代数入門」という感じの内容で、1年生には凄く難しかった。それで群論や環論の書いてある本を探したときにファン・デル・ヴェルデンの本に出会った、というわけで、相当昔にちょっとだけ読んだ。本は変色して、今や本棚の肥やしだが、新しいのが出るんならちょっと勉強しようかな。2巻、3巻も早いところ出て欲しい。

「数学概論A」の「教科書」として指定されたのが、足立恒雄「類体論へ至る道」日本評論社。教科書などとは真っ赤な嘘で、本とは大分違う内容を教わった気がする。まあ面白い本なのでいいんだが。この本の改訂新版が出ているが、売れていないそうである。皆さん、予算に余裕があれば、是非もう1冊ご購入を。この本には「PID ⇒ UFD」の「正しい」証明が出ている。「依存選択の原理」というのを使わないと正しく証明できないそうで、足立先生に寄れば「これが書いてある代数の本は極めて珍しい(あるいは、存在しない)です。」だそうな。今度読もう。とりあえず講義の準備と、12月に日大でやる「八王子数論セミナー延長戦」の準備をしないと。