2025年10月7日火曜日

仙人の境地

今朝は11時過ぎまで寝た。ということで睡眠は13~14時間。よく寝られる。まだ若いな。シャワーを浴びて、11時40分過ぎに出発。

月曜日は「数学IV(線形代数)」。今日は部分空間がどうしたとかそんな話題。部分空間の定義は「部分集合であって、親玉と同じ演算でベクトル空間」。でそれが「部分集合であって、零ベクトルを含んで、和とスカラー倍に関して閉じている」と同値であることを示して、で「零ベクトルを含む」は「空集合でない」としてもよいことを示して、「和とスカラー倍に関して閉じている」は「a,b∈W, k,l∈R ⇒ ka+lb∈W」と同値であることを示した。これ、何となく「一まとまりにして」といい加減に認識している人が多いだろうが、それじゃダメ、と言って、同値であることをしっかり示した。で連立方程式の解空間がどうしたとか、有限個のベクトルで張られる空間がどうしたとか。いつもの通り例は豊富に出しておいた。web に置いておく資料に更に詳しく書いておいた。まあ消化不良を起こすでしょうな。最初は仕方ない。一回やっておいて暫くして(数年後でもいいと思う)見ると分かることはあるのでね。であっという間に95分経っていた。疲れた。今日は誰も質問に来ず、次のコマは同じ部屋で講義が無いようなので、冷房の電源を切って電気を消して終了。

次のコマがすぐゼミなのはちょっときついが仕方ない。今日は一人体調不良で休むとのことで、短時間で済むかも、と期待。で行ってみると、いる一人も就職活動で関東に行ってきたりで忙しかったらしく、1節やっただけだった。まあちゃんとやってあるので問題は無いです。就職活動は大事だからね。昔の学生にとっては一生の問題だったが、今時の若者はすぐ転職しちゃうから、そんなに大事ではないのだろうか?まあ一回目だからね。大変でしょう。ということで1時間半掛からず終了。

その後部屋で講義資料を直して web に上げて、金曜日の講義の演習問題を少し直してこちらも web に上げて、でちょっと代数のことを考えて。CR(i) であることって何通りも証明のしようがあるな、などと思って考えてから秘蔵の代数学問題集を見ると、前に同じことを考えたようで、そっくりそのままの内容を詳細にまとめたものが既に TeX 化されていた。何だ。まあそれを参考にして、Q(21/4)={a+b×21/4+c×22/4+d×23/4|a,b,c,d∈Q} を構造定理を使わないで証明することが出来たのでいいです。これを何通りかで証明することをレポート問題にしてやろうか?などと考えたりして、程々の時間に職場を出た。

今日のニュースはノーベル賞の話がトップニュースだった。毎回言ってるけど、自分のやってる研究が何となくでも話せるのは羨ましい。受賞者の坂口志文先生が、研究じゃなくてもいいけど、何か一つ徹底的にやると面白くなってきてとか、そんな趣旨のことを話しておられた。同感。小生は下らん研究を結構長期間やってるが、最近色々面白いことが増えてきた。人の役に立たないようなことでもやると楽しいのだ。坂口先生もすぐ役に立たないと思っても、後に役に立つということがあるので、我慢強くやるのが大事だと言っておられた。前に高校生の研究発表のようなものを聞いた時に、幾つかの学科の先生が「役に立つ研究」を強調しておられたが、終了後物理の先生とウェストウィングに向かっている時に「我々大分ディスられてましたね」という話に成った。某学科の人事の時に工系の学科の先生が「その研究は我々の生活のどんなことに役立つんですか?」と全員に聞いておられたが、こういう目線でないと研究を評価出来ないのは悲しいな、と思って聞いていた。「人間精神の名誉のために」という本があったな、と思って調べたらデュドネの本だった。高橋礼司先生が翻訳されている。残念ながら品切れのようだ。タイトルの意味するところを知りたかったが。研究って結局そういうことだと思うんだが。

次のニュースは東急田園都市線が不通に成っている件。渋谷に向かう電車だ。止まって大騒ぎだったようだ。23時近くに成って運転を再開して、明日は始発から運転するらしいが、ダイヤは乱れる可能性があるとか。まあ東京近郊は色々代替路線があるだろうから、何とか成るかもしれないが、うちは琵琶湖線が止まると大変だ。その場合は休校に成るそうだが。

でさっきから「過ぎるTV」で西大和学園のことがやってる。難関大学に多数合格者を出しているが、相当厳しいようだ。が、緩める時があるようで、メリハリがはっきりしてていいのかもね。学園が運営している大学があって、「東の早慶、西の大和を目指す」(書いとるがな)とCMで言っているが、どうなんですかね。同僚がこの大学に知り合いがいて、立ち上げの時の苦労話を聞いてきたらしく、教えてくれた。当局は高校のノリで大学をやろうとして、結構現場は大変だったらしい。整数論の先生で有名な人が一時いたが、この前どこかで研究発表している時はもう所属が変わっていた。定年退職して、元々いた大学の名誉教授、ということかな。知らんけど。今は子供が減っていて、これから厳しくなる大学がどんどん増えてくるだろう。まあうちもどうなるか分からんが。このご時世に新しい大学が出来たり、学部を増やす大学もある。うちもか?大丈夫なんでしょうかと思ってしまうね。ま、お互い頑張りましょ。

などと書いてしばし。Q(21/4) の時も前にやっていたことが分かった。前に橋本喜一朗先生が仰っていたが、昔やった計算を新発見と思ってやってると、あれ、これ前にやったぞ?ということが何度もあったとか。その時に「歳は取りたくない」との仰せだったが、何か小生もその境地に成ってきたな。歳は取るのではなく、重ねるそうだ。そう思えば、小生も大分仙人の境地に近付いてきたかな。そう思えば嬉しいことだ。