2022年5月18日水曜日

「合コンの定理」の証明を二通り見る

今日は8時40分に起きた。朝食を摂る時間があったので、珍しく食べる。その後シャワーを浴びて、10時50分過ぎに住処を出る。

水曜日は「代数学I」から。今日は有限個の有理整数に対し、その最大公約数がイデアルの生成元として求められることを示して、最大公約数が符号を除いて決まる(より一般に、整域では二つの最大公約元が同伴であることを証明)ことを示して、(a1,…,an)=1 ⇔ a1x1+…+anxn=1 などを証明。応用として、飯高先生仰るところの「合コンの定理」(a|bc, (a,b)=1 ⇒ a|c)を証明、さらにそれを使って、Z のイデアルの分類をした。で合同式を定義して、フェルマーの小定理やオイラーの定理など。その後可換環の素イデアルと極大イデアルを定義。Z の素数に生成される単項イデアルが素イデアルでも極大イデアルでもあることを定義から証明。な、面倒だろ、と言って、剰余環による特徴付けを与えようとしたところで時間。ステートメントだけ書いてきた。次回はその証明から。

例によって昼は弁当。今日はいつもと違う人から買った。で貪り食いながら午前中の資料を直す。微妙に嫌な所が数か所あったので。

で1時からは、いつもなら卒研なのだが、今日はわけあって「科学技術表現」なる講義に行く。15週間のうち1週間だけ担当すればいい科目。タイトルだけだと何をする科目かわからないが、要するにプレゼンをさせて、それを他の学生に聞かせる、という科目。今日は小生のゼミの学生が発表者で、聴衆には整数論を専門にしている学生がいない、という状況。難しい話をしても仕方ないな、と思っていたら、合コンの定理の証明や、素数の無限性などの易しい話。聴衆もそれなり楽しんでいたようだ。素数の無限性の証明なんか皆知ってるだろう、と思ったが、そうでもないようで、質問やら突っ込みやらが結構出た。帰り道でその件について議論している学生もいたので、まあよかったでしょう。

で今日の学生の種本は河田敬義「数論-古典数論から類体論へ」なのだが、この本は気持ちの悪い本である。初等整数論は  Z が P.I.D. であることに基礎をおいて進むものだと思っている。即ち、午前の代数の講義でやったように最大公約数が議論のベース。しかし河田先生の本は最小公倍数がベースに成っている。a と b の積がa, b の最小公倍数×最大公約数である、とか、合コンの定理とか皆最小公倍数ベースで書かれている。気持ち悪い。ヴィノグラードフ(三平、山中訳)の本も同様。昔学生に読ませた時大層違和感を感じたのを覚えている。それっきり1回も使っていない。河田先生の本ももう使わないだろう。

2時40分から卒研ゼミ。今日は多項式環における ABC 定理。証明は易しい。多項式の微分程度の知識で済んでしまう。が、今まであまりすっきりわかったことはなかったんだが、今日は分かった。H君のおかげ。その後多項式環におけるフェルマーの大定理やカタラン予想の類似など。1時間半だとあっと言う間だ。来週は本家 abc 予想について解説がある予定。その後いよいよ合同式へ。初等整数論らしくなってくるね。ゼミのテキストは普通に最大公約数に基づいているので、気分良く進めるだろう。

4時半から会議。今日は難しい話が多かった。将来構想に熱心な方々が話しておられたが、随分前から落ちこぼれているので、よくわからなかった。が、来週その件で会議があり、引っ張り出されることに成っている。うーん、どうやってやり過ごそうか。その前にも対面で教授会があり、さぼるわけにはいかない。いや、そもそもどんな会議でもさぼってはいけないんだが。7時過ぎに終了。

会議中はパソコンを相手に内職したり、野球の情報を見たりしていた。いや、出席だけしてこういうことをしていてはいけないんだが。代数学Iの学生向け演習問題の強化を、会議終了後も引き続きやっていた。野球の情報はもちろん気にしていた。3回の表にソトのタイムリーと牧の3ランホームランで4点先制。4回の表にもソトのタイムリーで0-5。こんな試合は楽に勝たないといけないと思うんだが、ロメロがふらふらとして、入江も打たれて追い付かれた。うーん。しかし7回表に藤田の代打内野安打で勝ち越し、関根が押し出し四球を選んで、2点差。エスコバーが阿部にホームランを打たれて1点差。が、そのままエスコバー、康晃が抑え切って、1点差で辛くも勝利。よかった。

いや、こう書くと野球のことばかり気にしていたように見えるが、そうでもない。演習問題はいくつも作った。「x|a, y|a, (x,y)=1 ⇒ xy|a を示せ」何て言う問題も出した。これは素因数分解の一意性を知っていると自明なのだが、まだ Z が U.F.D. であることは示していない。というかそもそもまだ U.F.D. っていう言葉も出てきていない。じゃあどうやろう?と思ったが、「整除性」と「互いに素」と言えば合コンの定理だろう、ということで使ってみたらすぐ出来た。これが分かると「p,q が相異なる素数 ⇒ pq-1qp-1≡1 (mod pq)」なんてことも示せたりする。問題が大分増えた。まあ出席者は10人程度だし、解いている学生がいるとは思えないが、まあ自分のためということで。9時過ぎまで職場にいた。

帰ってきたらもうNHKのニュースは終わっていたので、相撲の情報をまだ仕入れていない。後で Yahoo! のページを見よう。で「報道ステーション」を見ていたんだが、ちょっと唸ってしまった。間違って4000万円を超える額が自分の銀行口座に振り込まれたらどうするだろう、と。で振り込まれた男が逮捕された、というニュースを聞いて、いよいよ唸った。振り込んだ方が悪いん違うの?と思った。いや、小生はチキンだから、多分そんな額振り込まれたら、即どこかに相談するだろう。でどこにすればいい?と成って、「えーい、使ってまえ」と成ったのかもしれない。人生を役所の間違いで変えさせられてしまった男は悲劇としか言いようがない。いや、喜劇か?まあいずれにせよ、電子的に全て済むのは怖い。最近は成績入力も何もかも電子上でやらされているが、気を付けないといけないね。秋学期の成績付けで一人だけ不合格にした学生がいるが、それは間違いないことを確認したので大丈夫のはず。レポートを出したのに何故不合格かって?だって「代数学II」のレポートに微分方程式の問題を解いて提出してきたんだもん。仕方ないじゃないか(えなりかずき風)。多分提出ミスだろうが、レポート試験は再提出を認めない、となっている。止む無し。