昨晩は呑んで帰ってきて、ウダウダとやって寝床へ。で最近悪い習慣が付いているのが、twitter や Facebook を見てしまうこと。で何やら ChatGPT が話題に成っている。少し前にテレビもやっていた。学生が宿題をしなくなるのではないかと。で試しに登録して、log(-1) を求めよ、とか、cos x=2 となる x を求めよ、とかやらせてみる。前者は、対数関数の引数は正の実数でないとダメ、後者は cos の絶対値は1以下でないとダメ、と返してきた。複素関数論は知らないか。後意地悪で、1/(x2+1) の原始関数を求めよ、やってみた。高校数学では求められないことに成っている。結論は、1/((x+i)(x-i) とやって、部分分数分解して log で返してくるというものだった。小生が受験生の時夢想していた奴やね。まあ大学数学には対応してないか、ということで一旦就寝。
そんなに長時間寝られず起きてしまった。でまた twitter を見る。TeX が何がいいのかわからん、ということを呟いて、それに同調している人が結構いる。ラベルを振って、定理や式を \ref や \eqref で引用できるのがいい所では?と反論を書いておく。で TeX ユーザーの反論の中に、「TeX を覚えると ChatGPTと会話出来るからいいですよ」というのがあった。え?ChatGTP って TeX 理解出来るの?で早速試してみた。pmatrix 環境で行列を教えることに成功。\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} を対角化して、とやってみた。手順が次から次と出てくる。固有多項式を求めて、とか。で対角化された。が、いかん。この行列は対角化出来ない。じゃあジョルダン標準形を求めてもらおう、と思ったら、単位行列が答えで返ってきた。うーん。そうか、対角化出来ないことを証明して、とやってみたら、固有値1に対する固有ベクトルが存在しないので対角化出来ない、という謎な解答。ダメだな、使えん。が、そうなったらもっと意地悪がしたくなる。複素解析と線形代数が駄目なら、1回生の微積分でどうだ、ということで、コーシー列が有界であることを示して、とやったら、何やら ε だのなんだの出てきて、正しくやってるっぽい。おぉ。じゃあ次は位相だ。[0,1] がコンパクトであることを証明して、とやったら、コンパクト ⇔ 有界閉集合を知っている。で有界閉集合であることを示し始めた。が、やっぱりだめ。「[0,1] という一つの開カバーで覆われる」と謎の一言。[0,1] は開じゃないって。有限個の開被覆で覆われればコンパクト、という間違いはよく学生がやって、その定義だと任意の集合がコンパクトに成ってしまう。位相もダメ。じゃあ代数だ。偶数位数の群は位数2の元を持つことを証明せよ。何やら x と x-1 を組にして、とかやってるところをみると、出来てるっぽい。じゃあ p が有限群 G の位数の素因数なら、G は位数 p の元を持つ、というコーシーの定理を証明させてみた。1頁くらいで証明してきたが、まあ見るまでもなく間違ってる。これはシローの定理の証明のように群作用で証明したり、もしくは最初アーベル群の場合に証明して、アーベルとは限らない場合は中心とか正規化群とか持ち出して、アーベルの場合に帰着させる、という証明をするしかない。難しい定理だ。待てよ、ここは一発、奇数位数の群は可解群であることを証明せよ、とやったら、これも1頁くらいで証明してきた。そんなわけない。これは Feit-Thompson の定理と言って、Pacific Journal of Mathematics 一冊丸々使ってようやく証明が出来るという超ド級の定理。いよいよ信用ならんね。位数15の群は巡回群であることを証明して、とやったら、15は素数、とかわけのわからないことを言ってきた。滅茶苦茶だな。位数8の群を決定して、と言ったら、巡回群と四元数群の存在を教えてくれたが、二面体群は無視された。「決定する」という言葉の意味はお分かり?群論は分かった。環論をやろう。R[X]/(X2+1) と C が同型であることを証明して、と。何やらイデアルとか剰余環とか kernel とか知っているようだが、Ker(f)/(X2+1) とかやりだした時点でもう見る価値無し。体論は?代数学の基本定理の証明を教えて、と命令したら、まず定理のステートメントを紹介してくれて、その後証明を始めるが、滅茶苦茶。f(X)∈C[X] を取って、その根 z∈C を、とか始める。いやいや、そういう z が存在することを証明するんじゃない。これはガウスの頃の数学者が同じ間違いをしていて、ガウスに指摘されても意味が分からなかった、という逸話を思い出させる。次は整数論だ。φ(100) を計算して、とやったら、1~100 で 100 と互いに素なものを数え始める。うーん。じゃあ p,q が相異なる素数の時、φ(pq) を求めて、とやったらこれは出来た。出来ることもあるんやね。218-1 を素因数分解して、とやったら x2-y2=(x-y)(x+y) を用いるまでは良かったのだが、x3-y3=(x-y)(x2+xy+y2) は知らないようで、中途半端に分解して終了。513は素数じゃないぞ!そうだ、232+1 が素数じゃないことを証明してもらおう。641が素因数であることならそんな苦じゃないんじゃないだろうか?と思ったら、何やら意味不明なことを始めて、謎なことを吐き出して終わり。うーん。216+1 が素数であることを証明してもらおう、とやってみる。二つの方法がある、といって、28 以下の素因数を持たないことを示す、でそういうのは無い!と言ってくるんだが、信用できない。もう一方はいよいよ信用できない。奇数 n に対し、2n-1≡1 (mod n) ⇒ n は素数、という大嘘命題を使ってきた。ダメやね。
そこいらで一旦休止。相撲を見る。翠富士が幕内唯一の8戦全勝。今日は大きい碧山が相手だったのだが、見事だった。部屋の横綱照ノ富士(今場所休場)には「優勝いけるぞ」と言われたとか。高安は2連敗。またしても優勝できないんだろうか?
で相撲が終わったら、引き続き ChatGPT をいじめる。非分離拡大の定義を教えて、とやったら、全ての元の最小多項式が重根を持つ、という謎な答え。∀を否定すると∃になることが分かっていないのか?最小多項式か、面白い、と思って、e2πi/7 の有理数体上の最小多項式を求めて、とやったら、x7-1。うーん。cos もやってみよう、ということで、cos(2π/7) の有理数体上の最小多項式を求めて、とやったら、cos(2θ)=2cos2θ-1 を用いて、とかやられて、係数に思いっ切り無理数が残っている。7 だからいけないんだな。今年のうちの入試でも出てたが、7 だけじゃ点が出ない、という配慮か、5 もやらせていた。ということで cos(2π/5) の最小多項式も求めさせたが、全く同じことをやっていた。が、この場合はまだ求められるということか、小数表示してきた。が、cos(2π/5) が負に成ってしまった。うーん。で1の冪根とか三角関数と言えば、クロネッカー・ウェーバの定理だ。ステートメントを教えて、とやったら、何やらアーベル拡大が何のかんのと言ってくる。が、そこはかとなくおかしい。クロネッカーつながりで、クロネッカーの青春の夢について教えて、とやったら、クロネッカーの書いた哲学書、という出鱈目もいいところな解答。この哲学書について縷々述べてくるが、もう読む価値無し。
そこで一旦やめて、また twitter を見てしまった。日曜数学者 tsujimotter 氏が自分のことを ChatGPT に聞いたら、何やら氏の妙な本名を返してきたらしい。予備校の先生が自分のことを聞いたら、出鱈目なことが返ってきた、と呟いてた。これは面白そうだ。加川貴章って何者?と聞いたら、凄いことに成った。小生岸田内閣で文部科学大臣を務めたことがあるらしい。うーん。で色々有名な数学者の名前を試したら、もう出鱈目そのもの。佐武一郎先生の名前を入れたら、特定不能なので、もう少し情報をくれ、と言ってきた。で「佐武一郎(数学者)」とやってみる。何やら数学者のことを返してきたが、佐武先生は微積分で大きな業績を残したことに成っている。そうか?で「加川貴章(数学者)」でやってみると、小生何やら代数幾何の研究をしていて、東大教授と成っていた。後進の育成に熱心、と書いてあったが、大学院進学後はドクターまで行って、研究者に成りたい、と言っていた K 君を「うちは整数論流行ってないから、もっと院生の多い所に進学した方がいい」と追い出したことがあるし、留学生からの申し出も、うちより京大や名古屋大に行った方がいい、と断り続けている小生のどこが熱心なものか。で加藤和也先生の名前を入れたら、何やら人気の俳優だと返ってきた。加藤和也なんて俳優いたかな?さっきのように「加藤和也(数学者)」とやったら、そんな数学者知らない、という失礼な返答。「加藤和也(整数論)」でもうまくいかない。最後の手段。「加藤和也(素数の歌)」とやったら、あ、そうです。素数の歌の作詞、作曲者、と返してきて、素数の歌を勝手に作ってきた。加藤先生の作品とは似ても似つかない。ついでに「加藤和也(美空ひばりの息子)」とやったら、さも知っていたかのように、美空ひばりと加藤剛の息子、というとんでもない答え。こちらの加藤和也氏は美空ひばりのお兄さんの実の息子で、養子にもらった、という顛末だったはずだが。
もっと世界的に有名な人だといいのも、ということでイチローのことを聞いてみた。すると、大体合ってるかな、という感じ。ただイチローが愛媛出身に成っていた。(実際は愛知。)大谷翔平についてもまあまあ。が、佐々木主浩がいかん。1974年生まれ、という時点で既に間違い。氏は小生と同い年。1968年2月22日生まれ。で何やらシーズン30勝したことがあるという、抑えの切り札の彼とは思えない成績。新人王を取った、と書いてあったが、大嘘。氏は1年目に2塁ベースに滑り込んだ時に足を骨折し、以後シーズンを棒に振っている。活躍し出したのは2年目から。でここでふと思い出した。昔知ってる人が「数学のめり込み度チェック」とか言うのを書いていて、そこに「王貞治を『おうていじ』と呼んでしまう」というのがあった。で高木貞治を引いてみると、案の定というか「たかぎさだはる」と成っていた。で類体論の父が代数幾何で大きな業績を残したことに成っている。滅茶苦茶やね。
もう飽きた。結論:ChatGPT 使えん。まあレポート問題を出題する前に、正解を出されないか確認する時くらいしか使わんね。無駄な一日だった。