2022年11月19日土曜日

徹夜で演習問題を考える

1日おきに徹夜している。今日も。で何をしていたかというと、昨日書いた通り (G:N)=(G:H)(H:N) について考えるため、松坂和夫「代数系入門」を引っ張り出して勉強。でそれはすぐ済んだのだが、演習問題を見てたら解きたい問題が幾つかあったので、それを考え、そこから別の問題に発展させることをしていた。例えば、「G がアーベル群なら、有限位数の元の全体は部分群を成すことを証明せよ」という問題があって、「G がアーベル群なら」と書いてある以上、アーベル群でない群なら成り立たないのだろうと。でアーベル群でない無限群なんて、どうせ GL か SL くらいしか知らない(いや、O(n) や SO(n) も多少知っているが、まあ似たようなもんだ)。なので、有限位数の行列で、掛けて無限位数に成るものを探す。有限位数の行列ですぐ思い浮かぶのは、回転行列と直線に関する折り返しの行列。それらは三角関数で書けるが、掛けてみると同じタイプに落ちてしまう。まあそれはそうで、O(n) や SO(n) は群なのだから。で色々探して見ると、固有値が ±1 の行列の例を見付けた。あとは π/2 回転の行列を用意して。で出来た。ついでに線形代数の問題が数問出来た。でそんなことをしてる間に朝。喪中ハガキはどうした?

「おはよう朝日土曜日です」が終わった頃に横に成る。数時間寝た。用足しに行きたくなり目が覚めた。もうすぐ相撲の時間。今度は「大学への数学」の整数問題を特集した号を引っ張り出してきて、そこに出ている問題を考える。√2+√3 が無理数であることを示す問題は割合頻繁に出ているが、「√2, √3 が無理数であることを使わずに」という注意書きがついている問題は初めて見た。頑張って √2 も √3 も √6 も消し去って、Z がU.F.D.であることに帰着させる解答だった。成程。が、やはり大学で代数を教えている者としては、Q に √2+√3 を添加した体が Q でないことを示す、という手段で行きたい。その方が発展性がある。まあいいけど。フェルマーの小定理を証明させる問題も定期的に出ている。定期試験でも出してみようか?来年度から定期試験が復活する、という節があるので、そろそろレポート用の難し過ぎる問題から少し易しめの問題を探すことにシフトしよう。

さて、呑みに行こうかどうしようか?大体徹夜する晩は呑んでいるのだが、昨日は珍しく呑まなかった。寝不足だしまたすぐ寝落ちするのが落ちのような気もするが、たまには仕事以外の人間と会わないとおかしくなってしまう。もう少し考えよう。

昨日書いた通り運転中に色々考えていたんだが、前に同僚と「ギャップの無い講義をするべきか否か」という件について呑みながら議論したことがある。それについて考えながら渋滞に飲まれていた。小生はギャップの無い講義をすべき、と主張した。何故なら、何が問題に成っているのか学生は分からないだろうから、そういうことが問題に成るのか、ということを徹底的に分からせた方がいい、という主張。そういう所は自分で見付けるもんだ、というのももっともで、残っているギャップを徹底的に考えるというのも正しいと思う。が、小生としては、ギャップがあって苦しんだことを学生と共有するには、やはりギャップは残したくない。例えば、学生がレポートに書いてきたのだが、「a,b,c∈Q に対し、a+21/3b+41/3c=0 ⇒ a=b=c=0」。こういうのを「21/3 が無理数だから」とさらっと書いてくるが、これが問題だ、ということは指摘されないとわからないだろう。こういう議論はどこまで行っても平行線に成るだろうから、議論するだけ時間の無駄なのだが。小生がギャップを残したくない理由のもう一つは、現場で考えながら再現する講義をしたいので。ノートに書いてきた定理や主張の証明を黒板に書くだけなら、学部生でも出来る。現場で考えながら話すためには、やはりギャップは残らないようになる。まあもっと矮小な理由としては、学生に褒められたい、というのもある。「ノートを見て復習したら、よく分かりました」と言ってくれると嬉しい。ということで、今後もギャップを極力残さない講義をする。板書をノートに写すのは大変だろうが、後でたっぷり復習してください。