2023年11月9日木曜日

今年度の「数学展望」の出番は終了

今日は2時40分からゼミ。早目に行って飯を食べて、と考えていたが、起きたら結構遅かった。1回生の前に顔を出さないといけないから、寝癖ボーボーというわけにはいかんだろう、ということで、ざっとシャワーを浴びてから出掛けた。ゼミの前にパンを一個買って、コーヒーで流し込んだ。

2時40分から整数論のゼミ。今日は2次体のことを色々。色んな学生がQ(√(c2m)=Q(√m)であることを示すのを「Q(√(c2m))=Q(c√m)=Q(√m)」とかやって流そうとするが、これはダメ。これで通用するんなら、Z[√8]=Z[√2] になってしまう。この二つの環は同型ですらない。今日はちゃんと元を取ってきて、とやっていた。素晴らしい。今度学生が超越的なことをやろうとしたら、しっかり突っ込もう。ただ一つ、くどかったのが、NK/Q(z)=zz'=a2-mb2(z=a+b√m、a,b は有理数)と定義して、NK/Q(z1z2)=NK/Q(z1)NK/Q(z2) を示すのは (z1z2)(z1'z2')=(z1z1')(z2z2') とやればすぐなのだが、上の様に有理数を使って書いて、z_1z_2=(ac+bdm)+(ad+bc)√m)=… とやろうとする。高校生は複素数の絶対値が |z_1z_2|=|z_1||z_2| を満たすのをどうやって示すんだろう?ちょっと後で高校の教科書を見てみよう。

4時20分から「数学展望」の2回目。今日は楕円曲線の入門的な話。加法を定義したりとか、Q 上定義されている時は有理点の全体 E(Q) が部分群に成るとか、E(Q) が有限生成であるとか、階数と解析的階数(L 関数の s=1 での零点の位数)が等しいという予想があるとか。でフェルマー予想や合同数問題が楕円曲線と関連するとか。バーッと喋りまくって、早目に終了。院生が TA でついてくれているのだが、2週間とも何も頼まなかった。まあ給料は貰えるだろうし、いいでしょう。それと1回生の話し相手に成ってくれているようだし。TA は数学学修相談会で質問が来てもいいように聞いているという面もあるようだが、学修相談会ではレポートの答えは教えないんでは?と思ったが。まあいいけど。先週の分の締め切りが昨日だったので、後で採点しよう。

先週同様はま寿司で晩飯を食べることにしたが、先週は正門を出てまっすぐ下ろうとして渋滞にあったので、今日は右折してかがやき通りを通って行くことにした。多少混んでたが、先週よりましだった。6時15分くらいには入店出来た。例によって1400円くらい食べた。行きに見たらかがやき通りを駅から飛島グリーンヒル(大学の近所の住宅街)へ向かう車が多かったので、帰りは正門にまっすぐ向かう道(要するに下ってこなかった方の道)を登って高速道路へ。合流の所で急に車線を変えた車がいて焦った。車線変更はちゃんとウィンカーを出してからしましょう。渋滞情報が出ていたが、60km/h は出せたので、大したことなかった。

帰ってきて昨日の「笑わない数学」を見た。超越数の話。学生に超越数の勉強をしてもらっているので、色々知ってきたので面白かった。超越数であることを示すのって、上からの評価と下からの評価を出して、パラメーターを大きくすると矛盾、みたいな証明が多いが、e や π の超越性も同様、という話をしていた。それと0と1の間に整数が出来て矛盾、みたいな証明もあるな。超越数に入るためのイントロダクションとして作図問題の話をしていたが、n∈N の作図はすぐ出来て、じゃあ a が作図で来ていたとして √a は作図出来る?というのは小生の講義に出続ければしてあげるよ、と思った。さあ、明日の「代数学II」は何人出席するでしょう?

明日は12時からゼミの予定だったが、ちょっと勉強が出来ていないので、無しにして欲しい、というメールが来ていた。来年度から別の大学の大学院に進学することに成っているが、もうオンラインでセミナーをしているらしく、そちらが大変らしい。熱心な先生で頭が下がる。まあそちらを優先した方がいいだろうから、小生の相手は程々でいいです。ということで明日は1時間くらい余分に寝られることに成った。よかった。「代数学II」の後に3回生が卒研のことを聞きたいと言ってきているので、話すことにしたが、講義に使っている部屋は小生のコマの後に講義があるようなので、個研室か、もしくは7階の空いている部屋どこかを使って話をする予定。どうやら一人以上来てくれそうなので、まあよかった。

今朝(昼過ぎていたが)起きられなかったのは、昨日うっかり Twitter(新しい変な名前は使いたくないので、小生は今後も Twitter と言い続ける)を見てしまったため。東北大が将来的には全受験生をAO入試で入れる、というのが話題に成ってた。将来の話なのに、結構熱くなっている人がいた。それと、AO入試って言っても、面接だけではないようだし、まあどうなるかは分からない。それでも沢山返信している人がいたので、途中で見るのをやめた。その後同業者が嘆いていたことを見付けた。xCn が n 次の正方行列 A の固有ベクトルであることを示せ、と言われて Ax を計算するのは優秀層だそうだ。大体固有方程式を計算して、固有値、固有ベクトルを求めて、求まったものの中にさっきの x がある、という解答が多いとか。定義を確かめる、という習慣を付けずに数学をやってきた、ということだろう。それに対する返信として、多項式 f(x) を与えて、t が f(x) の根であることを示すのに f(t)=0 を示さない人が多い、と書いていた。f(x) が2次多項式だったら、解の公式で解を求めて、それに与えられた t があるから、みたいな解答が一定数あるそうだ。f(x) が4次や5次ならまあそういうことはしないらしいが。来年度は久々に1回生相手に線形代数を教えることに成ってる。気を付けよう。例年やっている講義通り、例は大量に出そう。