うちの学生は幾何が嫌いらしい。水曜日に小生が1回生の線形代数の講義をしているが、隣の部屋の多様体の講義(後編)は、数えるほどしか学生がいないようだ。担当の先生(今年度定年退職)も「うちの学生は幾何が嫌いらしくてなー。どうにかしてほしいんやわ」と、数年前に赴任したF先生にお願いしていた。「多様体ってそんなに難しいかな?ほとんど講義に出ずにいい成績をもらった気がするが」と小生は思っていたんだが、そう、2年生の時に、幾何をやっている院生に
志賀浩二「現代数学への招待 -多様体とは何か-」岩波科学ライブラリー
という本が再版されたのを知って、読んで雰囲気だけ理解したのだった。この差は大きい。それを読んで、「うん、面白そうや」と思って、しかも運がいいことに
松本幸夫「多様体の基礎」東大出版会
が出版され、教科書に指定されたことが大きい。講義にはほとんど出席せず、上記2冊で多様体の何たるかを何となくわかっていたことが大きい。うちの若い先生(うちの卒業生)が、「多様体はF評価でした」とか、有限体上の曲線のゼータ関数を勉強している学生が「多様体は登録しませんでした」などと言っていたのをみると、志賀先生の功績は大きいな、と感じる。30講シリーズなど、志賀先生の本はよい副読本になるので、もっと薦めてみてもいいんではないんだろうか。最近ちくま学芸文庫から再版されたのを知ったので、F評価をもらった若い先生と、「特殊講義(専門)」のTAをやっている学生に渡しておいた。彼女らが多様体を好きになればいいが。
ちくま学芸文庫は意欲作が多い。志賀先生の本の帯に
リヒャルト・デデキント(渕野昌訳・解説)「数とは何かそして何であるべきか」
があったので、早速購入。昔岩波文庫から出たのはは河野伊三郎氏が訳したものだったような気がするので、こちらも購入。見ると「待望の新訳」だそうだ。「切断による実数の導入」はいつか完璧にわかりたい気がしているので、これも購入。コーシー列の全体の成す環を、0に収束する数列全体の成すイデアルで割る完備化はもう十分理解した(つもり)なので、いつかデデキント切断を心底理解したい。それには今は余りに忙しすぎる。やはり65歳で定年した後は、特任教授などやらずに、自分の好きな勉強を…、20年先の話はやめよう。何が笑うんだろう?
他にパソコンを2台ほど購入。1台は持ち運び用の軽いパソコン。もう一台は、ついにWindowsを見捨ててMacを購入。結局TeXが使えればパソコンは何でもいいので、もうWindows8とかいうわけのわからないものには触れないようにしたい。ただ UBASIC は走らせたいから、一台は Windows7、32bit にしたが(64bit だとUBASICを動かすのに相当な工夫が必要なのでね)。